研究書・論文 
中国古代家族史研究 中国古代家族史研究
秦律・漢律にみる家族形態と家族観


鈴木直美著


定価: 本体5800円+税
2012年2月刊
ISBN978-4-88708-401-8
A5 244頁

在庫あり

2012年度駿台史学会選奨 受賞!
この賞は「過去1年間に学界において優秀と認められる業績」を挙げた会員に授与される賞で、「新進の研究者の育成に寄与することを目的」とされています。

中国古代における家族法の検討を通じて、戦国秦から前漢前期(前3世紀後半〜前2世紀後半)にかけての法制上の家族形態と、家族観の展開を探る
【内容紹介】
序 章 中国古代家族史研究の現状と課題
      @本書の課題と方法
      Aこれまでの研究と問題の所在―経学的研究とその影響/社会学・歴史学研究
       における漢代の家族規模・形態について/『睡虎地秦簡』の出土と家族史研究
      B『里耶秦簡』について  
      C史料の引用原則、および使用テキストと凡例
第一章 『里耶秦簡』 にみる秦の戸口調査―同居・室人再考―  
      『里耶秦簡』戸籍様簡の分析により、『睡虎地秦簡』以来の懸案事項である、
      同居・室人の語を 再定義し、秦の戸口把握の手法と意図を考察した
第二章 漢初における戸口調査と奴隷
      漢初の戸口調査における奴隷の名数申告(戸籍登録)と、
      その目的について論じた
第三章 『睡虎地秦簡』 からみた戦国秦の収帑制 秦の収帑制を『睡虎地秦簡』に
      よって詳らかにし、収帑対象者の設定理由について考察した
第四章 「収帑諸相坐律令」撤廃考―文帝の即位事情と賜爵を中心にして―
      第一章・第三章での検討結果を踏まえながら、収帑制・縁坐制
      (収帑諸相坐律令)の撤廃理由を、 文帝即位時の政治的事情に求めた
第五章 睡虎地秦簡 「公室告」 再論―秦律における親子の 「関係」 と公的秩序―
      秦律による秩序規制の対象を、従来の「家」という団体から、親子や夫婦など、
      個人と個人の 相対的な「関係」の集積として見直し、戦国秦から前漢にかけての
      親属の「関係」維持と公的 秩序維持との軽重を論じた
    補足 室人・同居の定義について
附 章 『里耶秦簡』 にみる隠官
終 章 秦律・漢律にみる家族形態と家族観
【書  評】

『中国出土資料学会会報』 2012年12月8日 第51号 「新刊紹介」より

本書の特徴は、従前「商鞅変法による単純家族(父母と未成年子で成り立つ家族)の析出を前提」にして解釈されてきた『睡虎地秦簡』を、法の運用実態を読み取れる『里耶秦簡』と、編纂された副葬品である『張家山漢簡』二年律令・秦?書とを用いて、再検討している点である。・・・略・・・秦〜漢初の法制度上で、家族がどのような単位で刑罰の対象となっていたのか様々な知見を提示し、新たな家族観を描き出している。              村上陽子

『古代文化』 2012年12月 第64巻第3号「新刊紹介」より

(前略)氏が本書において設定した課題は、「秦律・漢律における家族法と制度の内容」を検討することによって、「戦国秦から前漢前期にかけての法制上の家族形態と、そこに反映される家族観の展開」を明らかにしようとすることである。(略)本書で氏が解明しようと試みられたのは、当該時代における家族・親属の実態そのものではない。秦律・漢初律の策定者たちが、その脳裏で想定していた「家族」「親属」を復元しようと目指されたのであろう。律文を解釈するにあたって、政策的な意図といった政治的なバイアスの影響は意識されて然るべきである。こうした点に十分注意を払う氏の姿勢には、見習うべきところが多い。(略)中国の「家」「親属」を理解するにあたって、それを個々人の相互的な関係の集積と見なそうとする氏の視点は、支持されるべきであろう。終章では、本編各章における検討の結果が要領よくまとめられ、その上で更に議論は商鞅変法の再検討・再評価へと進んでいく。この限られた紙幅では、本書の多岐にわたる論点と考究の成果を全て紹介することはできない。各位自ら本書を手に取り精読されるよう、請う次第である。                    評者:下倉 渉

【著者紹介】
鈴木直美  すずき なおみ

2009年博士(明治大学)。
現在,明治大学文学部非常勤講師,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所非常勤研究員。
「馬王堆三号墓出土簡にみる遺策作成過程と目的」籾山明・佐藤信編『文献と遺物の境界―中国出土簡牘史料の生態的研究―』六一書房(2011年)他
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