研究書・論文 
苦難と心性 苦難と心性
イタリア・ルネサンス期の黒死病

石坂尚武著


定価: 本体8,400円+税
2018年3月刊
ISBN978-4-88708-441-4
A5 544頁

在庫あり
著者のライフワーク『イタリアの黒死病関係史料集』作成の中で,「苦難」=黒死病への反応から,当時の人々の内面を20年近く探り続けた心性史研究の集大成

「歴史において天変地異,自然災害や疫病などの苦難は,人間の心にどう響いて,人びとはそれにどう反応したのだろうか。心性史研究としてそれを把握することは,それが内面的なものなので,かなりむずかしいことである。本書では,疫病,ただこれのみを扱った。(結語から)」「苦難に際して,人びとが受けた心のあり方とその反応を把握することはあいまいなところがあり,容易ではない。そのためヨーロッパにおいても,正面から立ち向かった研究はあまりないように思われる。……しかし,イタリアのトレチェントの時代の都市社会に始まる「文字の市民化」によって,そうした疫病と心の関係,その心と行動の関係は,第一に「私的文書」=手紙や生活記録の「発掘」・収集,第二に「公的文書」=法令の条文・議事録・判決文等の史料を有機的に利用,幅広い視野から,ある程度まで解明することができた。本書は,その試みである。(結語から)」
【略目次】
まえがき―研究対象の基本的把握
 第一節 歴史的動因としての苦難
 第二節 「苦難」とは「心性」とは
 第三節 心性が及ぼした影響
 第四節 「ペスト期」を中心とする三つの時代区分
序 論 トレチェントの苦難
 第一章 トレチェントの時代と危機
 第二章 黒死病とは―その衝撃と原因
 〈付録〉ペスト菌をめぐる近年の細菌学的研究
        ―変質したペスト菌の考え方と別の病気説の対立
第一部 黒死病による苦難を都市・農村のレベルから見る
 第三章 黒死病による苦難の実態に迫る―総論的考察
 第四章 イタリアの都市・農村の大黒死病の死亡率―各論的研究
 第五章 地域研究の総括的展望―ベネディクトヴの見方に対する批判と評価
第二部 黒死病による苦難と心性を個人のレベルから見る
 第六章 人はペストにどのように対応したか―個人の生涯と心性から見る
第三部 中近世の黒死病の形態―概観
 第七章 イタリアの一五世紀の黒死病と中近世の黒死病
第四部 黒死病による心性を都市政府のレベルから見る
 第八章 《峻厳な神》とペスト的心性の支配―総論的考察
 第九章 ペスト的心性の対応をフィレンツェの法令・制度・判決に見る―各論的考察
 第十章 結 語
付録/あとがき/注/参考文献目録
【著者紹介】
石坂尚武 いしざか なおたけ
1947年千葉県生まれ。
現在,同志社大学教授。博士(文化史学:同志社大学)
著書:『ルネサンス・ヒューマニズムの研究』晃洋書房,1994年/『地獄と煉獄のはざまで』知泉書館,2016年,『イタリアの黒死病関係史料集』刀水書房,2016年,他多数
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