刀水歴史全書88
中世の聖なるイメージと身体 中世の聖なる
イメージと身体

キリスト教における信仰と実践

ジャン=クロード・シュミット著
小池寿子訳


定価: 本体3800円+税
2015年1月刊
ISBN978-4-88708-380−6
四六判 400頁



在庫あり
中世キリスト教文明の中心テーマ! 目に見えない「神性」にどのように「身体」が与えられたか?民衆の心性を見つめて歴史人類学という新しい地平を開拓した著者の、更なる到達点
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不可視なる神、ロゴスである神を画像として表現してよいのか、という問いかけに始まるキリスト教美術が、中世において如何にイメージを立ち上がらせてきたのかを、具体例をもって解き明かす。中世における「イメージ」は、単なる「造形作品」「美術作品」ではなく、神秘的生命感にあふれた身体性を存分に有し、中世を生きる民衆に大いなる働きかけを行いつつ、自ら変容し、受容されてゆく存在なのである。
【目  次】
 
第一部 長い歴史
 歴史家と図像
   
研究史/方法論/歴史学
 第二回ニケーア公会議からトマス・アクィナスまで:
 西方における宗教図像の解放
   
第二回ニケーア公会議の拒否から忘却まで/西方における図像,図像への態度の変化/
    東方ギリシア世界の再発見

 テクストとイメージ
   
イメージの希求/奇跡のイメージ/キリスト像の勝利
 西方図像の自由と規範
   
図像の受容:第一千年期/図像と異端/中世末期における伝統と革新
第二部 図像への信仰
 紀元1000年前後における新しい図像の正当化
   
記号としての十字架から磔刑像まで/イコンか、彫像か/
    ロベール・ド・モザの夢とクレルモンの荘厳のキリスト像/聖母の彫像から諸聖人の彫像まで

 イメージの移送、力の移動:ウォルサムの石造磔刑像をめぐって
   
東方から西方へ:奇蹟の像/場から場へ/イメージに導かれる信仰
 磔のシンデレラ:ルッカのヴォルト・サント像について
   
アケイロポイエートス像/驚異の西欧/キリストの靴/シンデレラの右足とそのスリッパ/
    ヴォルト・サントの新たな旅/彩飾写本に見るヴォルト・サント

 聖遺物とイメージ
   
キリストの身体のかけら/聖人の聖遺物/金・銀・貴石/イメージから,イメージ=聖遺物へ
第三部 夢・幻視・幻覚
 夢の図像学
   
テクストとイメージとの複雑な関係/図像が夢を「考える」時/図像が紡ぐ逸話
 ビンゲンのヒルデガルトと夢の拒否
   
いわゆるスピリチュアルな幻視/シェーナウのエリザベートの恍惚/
    ドイツのルペルトゥスの小
さき寝床/男の幻視、女の幻視/幻視の図像化

 
効果的なイマジネーション
   
ラバンの子羊/図像を視る/図像に入る
・・・・・・・・・・・・
注記・索引・図版

【書  評】
『史学雑誌』5月号「2015年の歴史学界―回顧と展望」

[ヨーロッパ(中世―西欧・南欧)]p.325

その他、研究書の翻訳としては、(略)また、ジャン=クロード・シュミット(小池寿子訳)『中世の聖なるイメージと身体』(刀水書房)は歴史人類学研究と中世美術史との新たな連携を目指す研究と位置づけられよう。
【著者・訳者紹介】

ジャン=クロード・シュミット
1946年コルマールに生まれる。
パリの古文書学院を卒業。現在,社会科学高等研究学院教授として,中世西欧歴史人類学研究を牽引。

これまでの邦訳
1)<<Les superstitions>>,chapitre 4 de Jacques Le Goff et Rene Remond
  (sous la direction de),Histoire de la France religeuse, tome 1,Des dieux de
  la Gaule a la papaute d’Avignon(des origins au XIVe siecle),
  Paris, Seuil,1988,pp.417-551.
  『中世の迷信』松村剛訳、白水社、1998年
2) La Raison des gestes dans l’Occident medieval,Paris,Gallimard,1990
  『中世の身振り』村松剛訳、みすず書房、1996年
3) Les revenants et les morts dans la societe medievale, Paris,Gallimard,1994
  『幽霊―中世社会における生者と死者』小林宜子訳、みすず書房、2010年
4)Le corps, les rites, les reves, le temps. Essais d’anthropologie medieval,Paris,
  Gallimard,2001
  『中世歴史人類学試論 身体・祭儀・無限・時間』渡邊昌美訳、刀水書房、2008年

  *詳しい研究歴は上記4番目『中世歴史人類学試論』の「まえがき」(pp.3〜20)も参照。

小池寿子 こいけ ひさこ
1956年 生まれ。
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程満期退学。國學院大学文学部教授。専攻、西洋美術史 
著書:『死者たちの回廊』,『死を見つめる美術史』(芸術選奨文部大臣新人賞受賞),『描かれた身体』,『 死の舞踏 への旅』他
 HOME  会社案内 | 近刊案内 | 書名一覧・索引 | 注文について | リンク集
Copyright (c) 2005 Tosui Shobo, Publishers & Co., Ltd. All Rights Reserved