刀水歴史全書84
ドイツの歴史百話 ドイツの歴史百話


坂井榮八郎著


定価: 本体3000円+税
2012年11月刊
ISBN978-4-88708-407-0
四六判 319頁


在庫あり
百のエッセイから読むドイツの文化、歴史
古代ローマ帝国期から東西統一後の現代まで、ドイツの人々が生きてきた道すじを百 のエッセイを通して読む。どのページから読み始めても、そこに広がるドイツの人々の世界・・・。

 【「はじめに」から】
「私にできるのは、ともあれ半世紀以上にわたってドイツ史と付き合ってきた中で私自身が出会った 出来事、エピソード、あるいは「ちょっと気になること」、そんなことをエッセイ風に書き綴ること である。 ただ私は自分のことをドイツ史の研究者というよりも語り部だと心得ている人間なので、いつも何となく時代順に話をつないで語る習性が身に染みついている。 話をつなぐうえで、あるい はドイツ史のことをあまりご存知ない方のために、多少は時代時代の概観めいたことも書くことはあろうが、理屈はなるべくこねないようにしたい。それでも読んでいるうちに、全体としてドイツ史の 流れのようなものを感じ取ってもらえれば、と念じている。」
【目  次】
はじめに

T 古代ローマ帝国の遺産
    1 「トイトブルクの森の戦い」の戦場跡に立って
    2 アルミニウスのこと
    3 リーメスのこと
    4 ある日本の経済人のリーメス関係資料コレクションについて
    5 ローマ帝国、トリーア、キリスト教
    6 「ドイツ人の使徒」ボニファティウス
    7 ボニファティウスの足跡をたどって
    8 カール大帝のザクセン戦争
    9 カールとヴィドゥキント
   10 カール大帝は字が書けたか
    11 『ヒルデブラントの歌』

U 中世ドイツ世界の形成
   12 フランク帝国の分裂とシュトラースブルクの宣誓
   13 レヒフェルトの戦い
   14 オットー大帝とローマ
   15 「神聖ローマ帝国」という国
   16 帝国の支配領域――イタリア、ブルグント、そして「ドイツ」
   17 神聖ローマ帝国と東方諸民族
   18 叙任権闘争と「ドイツ」
   19 『アンノーの歌』と中世の歴史観
   20 フリードリヒ一世バルバロッサ(赤髯王)のイタリア政策とローマ法
   21 フリードリヒ一世とハインリヒ獅子公
   22 シチリア王の皇帝フリードリヒ二世のこと
   23 十字軍と二人のフリードリヒ
   24 中世文化史への旅
   25 ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデの歌った「ドイツ」
   26 テューリンゲン方伯ヘルマンとヴァルトブルク
   27 ヴァルトブルクとマールブルクの聖エリーザベト
   28 ヨーロッパの大学と「ドイツ国民団」
   29 ルドルフ一世とボヘミア国王オタカル
   30 「ウニウェルシタス」の世界――スイスの渓谷共同体から大学まで
   31 カール四世の金印勅書――7人の選帝侯とオーストリア「大公」
   32 プラハ大学のドイツ人とチェコ人
   33 フス、コンスタンツ公会議、「ドイツ国民の」神聖ローマ帝国
   34 マクシミリアン一世とブルゴーニュ
   35 マクシミリアンと帝国改革

V 宗教改革と宗教戦争の時代
   36 ウルリヒ・フォン・フッテンの『アルミニウス』
   37 宗教改革者とアルミニウス/ヘルマン
   38 ヘッセン方伯フィリップ、マールブルク大学、マールブルク会談
   39 フィリップと聖エリーザベト――「偶像破壊」と和解
   40 アルトドルファーの絵画「イッソスの戦い」(1529年)と時代意識
   41 フリードリヒ・シラーの『三十年戦争史』
   42 三十年の戦争とウェストファリアの平和の意味
   43 ウェストファリア条約の評価をめぐって――当時と今日
   44 戦争とドイツの大学

W 啓蒙の世紀
   45 オランダに学んだドイツ
   46 ハレ大学とゲッティンゲン大学
   47 フランス風、しかし女気のないサンスーシの宮殿
   48 フリードリヒとマリア・テレジア
   49 マリア・テレジアはハンガリー国会で何語で演説したか
   50 マリア・テレジアの語学教育
   51 ドイツにおける英語教育のはじまりとゲーテ
   52 「翻訳大国」ドイツ
   53 十八世紀ヨーロッパとドイツの「アルミニウス」と
      ユストゥス・メーザーの『アルミニウス』
   54 ヴォルフェンビュッテルの図書館司書レッシング
   55 ワイマル公妃アンナ・アマーリア
   56 デッサウの「父フランツ」とイギリス庭園
   57 啓蒙の時代の為政者たち
   58 ベルリンのユダヤ人女性サロンの主役たち

X 十九世紀の政治と文化
   59 フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』について
   60 ハインリヒ・フォン・クライスト『ヘルマンの戦い』について
   61 草創期のベルリン大学とフィヒテ
   62 メッテルニヒの人柄について思うこと
   63 会議は踊る、そして進んだ
   64 ドイツ連邦とゲーテ
   65 「ドイツ」への思いを旗に、歌に託して
   66 「ビーダーマイアー時代」についての二、三のコメント
   67 林健太郎著『ドイツ革命史 1848・49』について
   68 林健太郎先生のビスマルク研究について
   69 ゼークト『モルトケ』について
   70 ホフマンスタールの「プロイセン人とオーストリア人」
   71 多民族国家プロイセン
   72 普仏戦争従軍中ビスマルクの夫人宛手紙
   73 教育先進国ドイツ
   74 日本におけるドイツ史学――ルートヴィヒ・リースの「島原の乱」について
   75 哲学者にして音楽家ケーベル先生のこと
   76 輝ける芸術都市ミュンヘンの世紀末
   77 市民社会と決闘

Y 二つの世界大戦とナチズムの時代
   78 『魔の山』を下りて第一次大戦へ
   79 レマルク『西部戦線異常なし』
   80 歴史家エーリヒ・マルクスの講演「近代ドイツのどん底の諸時点」(1924年)
   81 ヒトラーの政治家への道――青年期ヒトラーについての近著を読む
   82 有澤廣巳『ワイマール共和国物語』を読む
   83 アウトバーンとフォルクスワーゲン
   84 「ドイツ文字」の廃止と「第三帝国様式」
   85 ベルリン・オリンピック――映画『民族の祭典』を見て思うこと
   86 ワルシャワのゲットー破壊十周年に寄せて
      ――西ベルリン市長エルンスト・ロイターの言葉
   87 アウシュヴィッツの聖家族像
   88 フリッツ・スターンの講演「失われた故郷」から
   89 ナチス時代のドイツの大学

Z 戦後ドイツと私
   90 ヴィルヘルム・モムゼン先生の戦前、戦中、戦後
   91 マールブルク――古い伝統、そして変革へのきざし
   92 マールブルクの恩師たち
   93 柏原兵三『カールスバートにて』
   94 70年代――西ベルリンで日本史を教えた日々 
   95 「壁」が崩れたとき――映画『グッバイ・レーニン!』に寄せて
   96 「チャンス」としてのドイツ統一
   97 統一の光と陰――「東」ドイツの歴史家ハルトムート・ハルニッシュの場合
   98 ドイツは「遅れてきた国民」なのか
   99 私の敬愛した歴史家ラインハルト・コゼレックの思い出
  100 私のドイツことはじめ――鹿子木コルネリア先生のこと

おわりに
【書  評】
西洋史学 2013 No.249 書評 
 評者:住友一木
 全文載せました 
【著者プロフィール】
坂井榮八郎  さかい えいはちろう

1935年生まれ。
東京大学名誉教授。
主著:『ゲーテとその時代』朝日選書(1996),『ドイツ近代史研究』山川出版社(1998), 『ドイツ史10講』岩波新書(2003)
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