刀水歴史全書87
魔女と魔女狩り 魔女と魔女狩り

W.ベーリンガー著
長谷川直子訳


定価: 本体3500円+税
2014年4月刊
ISBN978-4-88708-413-1
四六判 468頁



在庫あり
 
“魔女の世界史


本書は、これまで多くの研究者が課題としてきた,ヨーロッパの魔女狩りの時代に関する総合的な概説書となるはずだった。……しかしながら2つの予想外な結果にたどり着いた。
まず,魔女狩りはキリスト教だけに限らないこと。そして2つ目に魔女の殺害は過去の問題であっただけでなく,20世紀に行われており,今でもなお行われているということである。
……私たちは,現代でも世界のいくつかの地域で行われている魔女狩りに対して,何ができるのかを考えるべきだろう。
魔術は過去のものではなく,現代の重要な問題なのである
                                              本書「日本の読者へ」(B〜C頁)より
【目  次】

日本の読者へ
序文
第一章 魔女への誘い
 現代の魔女迫害と魔女信仰
 魔女研究の傾向と魔女の定義
 ヨーロッパにおける魔女解釈の変遷
 魔術の現代性
 魔女研究の再検討
 魔術研究の魅力

第二章 魔術の信仰
 現代の魔女信仰と魔術反対運動
 不幸の解釈としての魔術
 魔術と社会的関係
 オセアニアとアジアにおける魔女信仰
 アメリカにおける魔女信仰
 ヨーロッパにおける魔女信仰
 魔女信仰と宗教
 魔術の役割
 トマスとマクファーレン
 近代化と魔女
 魔術反対運動の激化要因
 魔女とシャーマニズム
 魔女信仰への懐疑
 キリスト教神学の魔女迫害への影響
 世俗的魔術解釈
 女性と魔術
 心理学的分析
 現実の犯罪としての魔術

第三章 魔女の迫害
 魔女の処罰
 魔女迫害の分類
 魔女狩りの普遍性
 中世ヨーロッパにおける魔術の処罰
 中世の魔女迫害
 「重層的な魔術の概念」と組織的な魔女狩り
 犯罪としての魔術
 異端審問と魔女迫害
 煽動的説教の影響
 『魔女に下す鉄槌』
 『魔女に下す鉄槌』の影響
 下からの魔女狩りと宗教的要因

第四章 ヨーロッパにおける魔女狩りの時代
 魔女狩りの激化
 魔術法の制定と人々の懸念
 近世の「小氷期」
 ヴァイヤーの魔女狩り反対論
 悪魔学 と魔女狩りの広まり
 トリーアの魔女迫害
 神聖ローマ帝国ドイツにおける魔女迫害
 ロレーヌの魔女迫害
 デルリオの悪魔学
 ボゲの悪魔学
 ド・ランクルの悪魔学
 マインツの魔女迫害
 フルダとバンベルクの迫害
 新しい形の魔女狩りと小氷期
 ケルンの魔女迫害
 対抗宗教改革派司教の魔女迫害
 バイエルンの魔女迫害
 カルヴァン派地域の魔女迫害
 ルター派地域の魔女迫害
 法体系と魔女狩り
 「一七世紀の全般的危機」
 イングランドの魔女迫害
 魔女信仰の衰退
 一七世紀後半以降の魔女迫害
 「魔法使いジャックの裁判」
 憑依と魔女裁判
 子供の魔女裁判
 植民地における魔女迫害
 アメリカにおける魔女迫害
 ヨーロッパにおける魔女狩り
 東ヨーロッパにおける魔女狩り
 イタリア、フランスにおける魔女迫害
 ヨーロッパにおける魔女迫害被害者
 魔女のステレオタイプ
 地理的条件と経済構造の影響
 心理的側面と魔女迫害

第五章 ヨーロッパにおける魔術迫害の非合法化
 カトリックの魔女狩り反対論
 プロテスタントの魔女狩り反対論
 バイエルンにおける権力闘争と魔女迫害反対論
 ドイツにおける迫害の影響―タナーとシュペー
 イタリア、フランス、スペインにおける魔女迫害反対論
 「科学革命」とパラダイム・シフト
 イングランドにおける魔女迫害反対論
 ヨーロッパにおける魔術をめぐる論争
 一八世紀後半の魔女裁判と論争
 魔術法の廃止と魔術信仰の衰退

第六章 一九世紀と二○世紀の魔女狩り
 植民地における魔女迫害の非合法化への反発
 マダガスカルにおける魔術信仰と魔女狩り
 アフリカにおける魔女迫害
 アメリカ先住民における魔女迫害
 アフリカにおける復興主義と反魔術カルト
 アフリカにおける魔女一掃運動
 アフリカにおける権力と魔術
 経済危機と生態学的災害が魔術にもたらす影響
 南アフリカ共和国における魔女狩り
 現代の魔女狩りの問題
 アメリカ大陸における魔女迫害
 近代ヨーロッパにおける魔女迫害
 現代アフリカにおける魔女迫害の公認
 アフリカにおける魔術迫害の復興

第七章 古い魔女と「新しい魔女」
 魔術の便宜性
 魔女の新しい解釈と魔術の重要性
 新異教信仰と魔術
 魔女とフェミニズム
 「新しい魔女」
 オカルト主義の復興
 現在も残る伝統的な魔術

第八章 エピローグ
 魔術信仰の普遍性
 魔術の課題の重要性
 「魔術の近代性」
【書  評】

『史学雑誌』5月号 「2014年の史学学界―回顧と展望」

同じくヨーロッパ全土にまたがる心性の問題として,魔女狩りを扱う黒川正剛『魔女狩り』(講談社)とウォルフガング・ベーリンガー(長谷川直子訳)『魔女と魔女狩り』(刀水書房)が続けざまに公刊された。両書とも冒頭で現代的問題とのつながりを指摘している点に,この歴史的現象の独自性が感じられる(中世― イギリス)

社会史ないし歴史人類学的考察としてはW.ベーリンガー(長谷川直子訳)『魔女と魔女狩り』(刀水書房)も重要であり,魔女迫害の研究に一石を投じる刺激的な内容である。合理化論や脱魔術化論に慣れ親しんできた歴史研究者の多くは,ヨーロッパの魔女狩りを啓蒙されざる時代の産物とみなしてきたが,ベーリンガーは魔女の「近代性」を指摘する。彼は20世紀末のドイツやアメリカで行われた魔術・魔女・悪魔の存在に関する衝撃の意識調査の結果を引きながら,ヨーロッパの前近代および近代以後のアフリカ・中南米・南アジア・東南アジアの魔女狩りを広く射程に収めた考察を行い,歴史研究と現代的状況を結びつけた議論を展開している(近代― 一般)
【著者紹介】
Wolfgang Behringer ウォルフガング・べーリンガー
1956年生まれ。ミュンヘン大学卒。
ゲッティンゲン大学,ミュンヘン大学などを経て,1999年ヨーク大学近世史講座教授。2003年よりザールラント大学教授。
主著:
Hexenverfolgung in Bayern. Volksmagie, Glaubenseifer und Staatsrason in der Fruhen Neuzeit(1987),Hexen und Hexenprozesse in Deutschland(1988),Thurn und Taxis : die Geschichte ihrer Post und ihrer Unternehmen(1990),Kulturgeschichte des Klimas(2011),Kulturgeschichte des Sports(2012).
【訳者紹介】
長谷川直子 はせがわ なおこ
東京都生まれ。フェリス女学院大学卒業。ヨーク大学大学院歴史学部修士課程修了。
主著・論文:Male Witches in Early Modern England(M.A.thesis, 2003),「魔術と魔女狩り」『はじめて学ぶイギリスの歴史と文化』(指昭博編)ミネルヴァ書房(2012年),ギリー&シールズ編『イギリス宗教史』(共訳)法政大学出版局(近刊)
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