史料・目録 
蒙古源流 蒙古源流

岡田英弘訳注


定価: 本体6000円+税
2004年10月刊
ISBN4-88708-243-6
A5箱 380頁

在庫あり
蒙古からインド,チベット,満洲に及ぶ内陸アジア一級の史料として重要視されながら言語的困難から定訳・解題のなかった貴重書に待望の訳解出来。モンゴル民族の活躍した内陸アジア世界とその政治の大勢を把握できる
【主要目次】
総  論
第1章 インドの王統
第2章 チベットの王統
第3章 モンゴルの王統 その1
第4章 中国の王統 その1
第5章 モンゴルの王統 その2
第6章 モンゴルの王統 その3
第7章 満洲の王統 その1
第8章 中国の王統 その2
第9章 満洲の王統 その2
解  題
【内容紹介】
 岡田 『蒙古源流』というのは、チンギス・ハーンの子孫の一人、モンゴル・オルドス部の貴族で、名はサガン、尊称をエルケ・セチェン・ホンタイジという人が、1662年(清の康熙元年)にモンゴル語で書いた世界史です。モンゴル語の題名は『エルデニイン・トブチ』といい、「宝石の綱要」という意味ですが、清朝の宮廷で満州語に訳され、それから漢文に重訳されて『蒙古源流』という題がついたので、日本ではこの題のほうがよく知られています。しかし不正確な漢訳ばかりが流通して、日本語の翻訳は、これまで一つもありませんでした。私は1959年、28歳でアメリカのワシントン大学に留学して、ニコラス・ポッペ先生について『蒙古源流』を読み、いつかかならず日本語訳を出そうと心に誓いました。それから四十余年、70歳を越えた今になって、心の約束を果たせるのは、ほんとうにうれしいことです。
 この『蒙古源流』の構成を説明しますと、最初にあるのは宇宙の起源で、次が人類の発生です。天人が地上の食物をむさぼって堕落し、男女の性別が分かれます。田を作って稲を植えて米を食い、田を作る土地を奪い合って争います。そこに現れて公平な裁きで争いを鎮めた人が人類最初の王者に選挙される。この王の子孫がインドの王統です。
 インドの王統からチベットに王統が伝わり、チベットからモンゴルに王統が伝わります。モンゴルの王統にチンギス・ハーンが誕生し世界を征服しますが、そのなかの金帝国を滅ぼすくだりには、漢の高祖から金までの中国の王統の叙述があります。物語はフビライ・ハーンにはじまる元朝の歴代のハーンたちの治世に移り、トゴン・テムル・ハーンが中国を失ってモンゴル高原に帰るくだりが詳しく叙述されます。
 それからフビライの後裔のモンゴルの王統と、反フビライ家のオイラト族の抗争の物語が語られ、フビライ家でただ一人生き残ったバト・モンケ・ダヤン・ハーンが現れて、王統を再興します。その三人目の息子の子孫がオルドス部族になり、その末裔が著者のサガンです。一方、ダヤン・ハーンの長男の子孫に伝わったモンゴルの王統は、最後のリンダン・ハーンがチベット遠征に出て死んだあと、昔チンギス・ハーンに滅ぼされた金帝国の末裔の満洲人に伝わります。ホンタイジは大清皇帝を名乗り、ここから満洲の王統が始まります。清朝の順治帝は、南方の中国人、西方のチベット人・オイラト人、東方の高麗人、中央の満洲人・モンゴル人を統合し、正統の政権を再び建てました。こうして『蒙古源流』の世界史は、順治帝の即位で終わるわけです。
 この『蒙古源流』は、昔から歴史学だけでなく、モンゴル文学の傑作としてもてはやされてきましたが、内容がむずかしくて、日本語への翻訳はひとつも出ていませんでした。こんどデ・ラケヴィルツの原文の校訂本が出たので、私の翻訳が可能になったわけです。これをもってポッペ先生への孝行が果たせるのは、私の最良の喜びです。
  『刀水』No.7〔対談〕モンゴルとは何か? 岡田英弘―宮脇淳子(2003年8月)31〜32頁
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