刀水歴史全書73 
白人とは何か? 白人とは何か?
ホワイトネス・スタディーズ入門

藤川隆男編


定価: 本体2200円+税
2005年10月刊
ISBN 4-88708-346-7
四六判 257頁

残部僅少本

「白人」を研究するなんて考えた事がありますか?
白人研究は、近年欧米で急速に拡大している研究分野です。白人に差別されてきた黒人や先住民などの研究は多数ありますが、その差別の根源となっている「白人」とはそれでは何なのか…?人類学者が未開の民族を見るように「白人」を研究の俎上に載せた,日本初の白人研究が本書です!
藤川隆男先生のホームページに「白人とは何か?」の小部屋が出来ました。どうぞ、お訪ね下さい。
【主要目次】
1 白人研究に向かって―イントロダクション・・・・・・・・・・・・・・・・藤川隆男

第T部 白人研究の「見取り図」・・・・・・・・・・・・・・・・藤川隆男
2 白人性の探求―白鯨を追って                   
3 白人性と世界構造―二つの白人性                  
4 白人性と表象/ジェンダー―先人の遺産               
5 白人労働者階級の形成―下からの歴史                

第U部 白人の形成
6 白色人種論とアラブ人―フランス植民地主義のまなざし ・・・・・・・・・・・・・杉本淑彦
7 ヒムラーのアーリア人種観とその帰結―親衛隊による「血の選別」・・・・・・原田一美
8 アメリカにおける白人の形成―先住民・アメリカ人・移民の交錯・・・・・・・・山田史郎
9 オーストラリアにおける「白人」の創造と大英帝国
  ―1870年代から1901年までを中心に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村上雄一
10 もう一つの北米社会
   ―二〇世紀初頭のカナダにおけるホワイトネスとブリティッシュネス・・・・細川道久
11 「白」と「茶色」の間―南アフリカにおける白人形成・・・・・・・・・・・・・・・永原陽子

第V部 白人の投影
12 歴史としての白人像
   ―オーストラリア先住民のオーラル・トラディション・・・・・・・・・・・・・・・・松山利夫
13 「ドミナントな白人性」を越えて―近代日本の二つの顔・・・・・・・・・・・・酒井一臣
14 白人とネイティヴのカテゴリーをめぐって
   ―ドイツ統治下のサモア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山本真鳥
15 宣教師たちの諸相―キリスト教布教の現場に見る白人性・・・・・・・・・・・並河葉子
16 野蛮なヨーロッパ
   ―近代歴史認識における十字軍像の変容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・上山益己

第W部 白人性の展開
17 映像文化と白人性―テレビのなかの民族とイメージ・・・・・・・・・・・・・・・日吉昭彦
18 多文化主義のなかの白人性
   ―オーストラリアの多文化主義論争から・・・・・・・・・・・・・・・・関根政美
19 家族計画援助と白人性―強制された近代家族 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 荻野美穂
20 死者たちの白人性
   ―オーストラリアにおける戦争の記憶と「国民」の境界 ・・・・・・・・・・・・津田博司
21 「白人であってそうでない」者たち
   ―イギリスのインド支配と白人性の境界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・水谷 智

おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 藤川隆男
【書評から】
◆ 『図書新聞』(3月18日)に『白人とは何か?』の書評が掲載されました。
   (以下に一部を引用紹介します。)

[「白人」は不変基準足りえない―黒人やマイノリティ,先住民族を差別化する]
「白人」研究の論文集である。おそらく,学際的な場所からの本格的な「白人」論や「白人」研究というものは,非常にめずらしいはずだ。例えば人種問題というものを俎上に載せる時,当然,差別・差異化構造の分析対象として,黒人や,マイノリティ,あるいは先住民族が必ず取り上げられるのが通例だ。しかし,よく考えてみれば,差別化する基軸は何かと問えば,「白人」というものを普遍的な存在と見做していることからくるものだ。これは,実に不可思議なことだといわねばならない。なぜ,「白人」は普遍基準足りうるのだろうか。人口比が根拠でないとすれば,世界というシステムのなかの権力構造バランスによるものでしかないのだ。編者・藤川隆男は,本書の巻頭論文で鋭くそのことについて述べている。・・・(以下略)                  (評者 黒川 類)


◆ 『朝日新聞(関西版)』2月3日夕刊「文化」欄に『白人とは何か?』が
   紹介されました。(以下に一部を引用紹介します。)

[日本で進む「白人研究」/「差別する側」対象に意義]
日本で「白人研究」が進められている。…編者である藤川隆男さんにその意義を聞いた。…(略)…「白人はこれまでは研究の対象としてはみなされず,対象となったのは主に黒人や移民など差別される側だった。こういう旧来のテーマ設定自体が,黒人などを特殊なグループとして扱ってしまうことで逆に,白人を特殊でないノーマルで正常な立場に置くという構造を強化する事に加担してしまっている」。まずは白人を研究対象化し,旧来型のこうした構造を浮かび上がらせることこそが,白人研究の大きな意義だと藤川さんは強調する。…(略)…藤川さんは日本で白人研究をする意義として,「白人でない者の方が逆に白人とは何かがよく見える」と話す。…(以下略)。    (文・小林正典)


◆ 「この本に さぷらいず!」―『読売ウィークリー』2月19日号に『白人とは何か?』
  が大きく(1頁)紹介されました。(以下に一部を引用紹介します。)

[グローバル化に一石を投じる未研究分野,本邦初の入門書]
白人とは何かって,そりゃ皮膚の色が白い人間のことだよ。そんなの小学生でも知っている当たり前のこと,簡単なことでしょう? 何か問題ある? ある。大ありだと,本書は言う。では,何が問題なのか。…(略)…歴史上,白人と非白人の間に引かれてきた境界線は,じつにあいまいで胡散臭いものだった。 …(略)…特権者としての白人を研究の俎上にのせる必要がある。 …(略)…歴史学,文化人類学,社会学など,さまざまな分野の研究者17人による全21章の内容は,バラエティーに富む。…(略)…当たり前だと思い込み,意識すらしていなかったことが,じつはまったく当たり前ではなかったのだと,ハッと気づく。この本は,そういうスリルに満ちている。…(以下略)。
 (評者 松村 洋)
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